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裏通りの寂れた

彼は綿密なタイプじゃないのだ。

強盗当日、銀行の前に立ち、犯行のシュミレーションをする。

『窓口に立ち、カバンをカウンターに置き、「金を詰めろ」と書いたメモ銀行員に渡し、懐の拳銃をちらつかせる』Single Club


オーケー、ギャングは思った。クールにやればすべては上手くいく。

ギャングは周りに気づかれないよう小さく深呼吸してから銀行に入った。


閉店間近の行内は思っていたよりもガランとしていた。客の姿はない。

ギャングはシメたと思い、フリスビーを追いかける犬のように窓口に向かう。

窓口には女の子が座っている如新香港

女の子はすべてを包んでしまうような微笑みで迎えてくれた。

その笑顔はギャングが知らない種類の笑みだった。

その瞬間、ギャングの頭の中は真っ白になり、胸がでんぐり返るほど高鳴った。

のどがカラカラに乾く。

緊張のためではない。窓口の女の子に一目惚れをしてしまったのだ。
 
ギャングは茫然を立ち尽くす。

そんなギャングの姿を見て、女の子は微笑みを浮かべたまま小首をかしげる。

結局、ギャングは一言も発さずに銀行を後にした。



その夜…

ギャングは裏通りの寂れたバーで酒を飲んだ。

毎日彼女に逢えるいい方法がないか、と考えながら。

貯金があれば引き出しに行けるけど、生まれてこのかた貯金などは一度もしたことがない。預金する金もない。

いい考えは浮かばず、酒と夜ばかり進んだnu skin 如新

ギャングはトイレに立った。トイレ内にバーテンダーを募集する張り紙があった。

それには、年齢、経験不問、給料歩合制、日払い可。と書いてあった。

ギャングは小便を済ませ、マスターに掛け合う。

「俺なら用心棒でも使えるぜ」と。

その日から採用になった。



キッチンで皿を洗いながら、ギャングは恋の温もりに酔いしれる。
by emily4231 | 2014-03-05 13:06

世界の美しい態度は一生魂の中にとどまります。


by emily4231